11年ぶりに茅ヶ崎へ
ネタにするのをすっかり忘れていたのだが、昨年茅ヶ崎駅の白ポスト(有害図書追放ポスト)を11年ぶりに撮影していたので、今更ながら記事にしてみよう。撮影は2017年。
なお、前回往訪の2006年バージョンの記事はこちらから。
JR茅ヶ崎駅は神奈川県茅ケ崎市に立地する駅で、東海道本線及び、相模線の駅として利用されている。
まずは北口側から。駅ビルのLUSCA(昔はルミネだった)や、イトーヨーカドー、ヤマダ電機、そして茅ヶ崎市役所がこちら側にある。茅ヶ崎の繁華街といえばこちら側であろう。
しかしながら、このような状況の場合だいたいにおいて、白ポストは駅出口の賑やかな側にはないのだ。
反対側の南口へ行ってみよう。こちらも随分と立派な駅前広場だが、それでも北側の華やかさに比べると落ち着いた感じがする。茅ヶ崎市の白ポストはこちら、南側の出口に置かれている。右手に見える神奈中バス後方に黒ずんだ四角形型の「なにか」が鎮座しているのがわかるだろうか。
那須塩原市の事例でも言及したが、駅の表玄関的な出口にはなぜか設置されず、反対側のどちらかというと目立たない側の出口に白ポストが置かれる事例が時々発生する。利用してほしいけど、目立たせたくないというアンビバレンツな設置者側の思いが垣間見られるようである。
ストリートビューで少し違った角度から見てみよう。拡大しても明瞭に識別できるとは言い難いが同様の構造物の存在が確認できるかと思う。
茅ヶ崎駅の有害図書追放ポストは木製
だらだらと引っ張ってしまったが、これが件の「なにか」。お待ちかねの茅ヶ崎市の白ポストである。
パッと見ですぐ判るのが、本体が木製であることだろうか。これはかなり珍しい事例と言える。屋外の過酷な環境下に置かれることが多い白ポストは、耐久性、密閉性を考量し金属を素材として作られることがほとんどだからである。
正面からだと構造がわかりにくいので、少し角度をつけた位置から撮影した画像を出してみよう。幅はかなり広いが、その分奥行は狭い。直方体の横長ボディ、支柱を用いない自立タイプだ。
投函部の拡大画像がこちら。奥行が狭いとはいえ、相応の収容量がありそうなこのポストだが、なんと中身はパツンパツン!見事なまでに満杯なのであった。この白ポスト、メチャクチャ活用されてるぞ!
手を伸ばせば中身に届きそうな程であったが、そこは大人の自制心である。白ポスト愛好者たる者、その内容物に手を触れてはならないのだ。
本体前面には寄贈元である「稲岡ハウジング株式会社」の銘とメーカロゴが記されたプレートが掲出されている。同社は不動産会社であるようで、それだけに木材を扱うことが得意だったのであろうか。茅ヶ崎の白ポストが木造である理由はひょっとしたらこのあたりにあるのかもしれない。
前回往訪時との違いは?
2006年往訪時と、今回の2017年往訪時の写真を並べて置いてみたのがこちら。経年に伴い外観が黒っぽく変色している。これは木製ならではの変化であろう。
それ以外にパッと見でわかる違いが3点ある。
1)ポスト正面右上に額のようなモノが掲出されている
2)運営団体の一つ「茅ヶ崎市青少年歩道連絡協議会」の表示が消されている
3)ポスト正面左上に掲示物が貼られている
これらの違いについて一つ一つ迫ってみよう。
回収結果が毎月報告されている!
ポストの前面、向かって右上に木製のフレームのようなモノが取り付けられているのが判るだろうか?拡大図がこちら。なんと律儀にも前月の回収状況が報告されているのである。なんという細やかな運用体制。市や運用団体のHomePage上で結果が報告されることは多いが、ポスト本体に結果が張り出されているのは初めて見た。しかも毎月である。
回収した書籍の冊数や、DVDの枚数だけならまだしも、総重量まで書かれている。毎月回収したブツを積み上げてその重さを量っているところを想像してみると、なんとも微笑ましいではないか。
なお、当然のことながら茅ヶ崎市はそのHomePage上でも回収状況の報告を行っている。以下、同ページからの引用。
有害図書回収
現在、茅ヶ崎駅南口には、「有害図書追放ポスト」が設置されています。このポストは、子どもの非行防止と健全な育成を図るため、市内に氾濫している有害図書を家庭に持ち込まない運動の一つとして、駅を利用する通勤中の方々等に、有害図書類を投函してもらうことを目的に設置したものです。
茅ヶ崎市では、昭和56年にポストを設置しておりますが、平成18年度からは青少年指導員の協力により、毎月回収を行っております。
ポストの中には、雑誌やビデオ、DVD等が入れられており、、各種類ごとに数量を把握した後に、資源ごみ等として処分しています。
ポイントは三点。
1)茅ヶ崎市の白ポストは茅ヶ崎駅南口の一か所だけ
2)設置開始が1981(昭和56)年
3)2006(平成18)年から青少年指導員による毎月回収が行われている
茅ヶ崎市の白ポスト設置数は現在紹介している1基のみ。これは人口約19万人の小田原市が13基、お隣の人口4.8万人の寒川町が4基あることを考えると少なく思えるが、運用の手間を考えるとこれもアリなのかもしれない。その分毎月回収を行ってポストがいっぱいにならないように配慮しているのであろう。
また、「2006(平成18)年から青少年指導員による毎月回収」とあり、運用から「茅ヶ崎市青少年歩道連絡協議会」が外れたことが伺える。
市立図書館の返却ポストが気になる
もうひとつ気になったのがポスト本体左上部に掲出されているこちらの表示である。「市立図書館の返却ポストではありません」とあり、図書館の返却書籍が投函されてしまう悲劇を阻止すべく懸命のアピールがなされている。
茅ヶ崎市のHPの有害図書回収実績<平成27年度>(PDF)を見てみると、衝撃的な内容が記されていた。
5月 図書館の本7冊
8月 図書館の本13冊
9月 図書館の本14冊
10月 図書館の本1冊
11月 図書館の本1冊
なんと一年間で36冊もの図書館書籍が白ポストに投入されているのである!市民の娯楽や教養に寄与すべきこれらの書籍が、エロ本やエロDVDと同じ箱に投じられているとは、なんとも切ない状況である。これは確かに注意書きを書かずにはいられない状態であると言える。
では、本来の図書館書籍返却ポストはどこにあるのだろうか。白ポストに記された表示では
とあり、なんと先ほど下ってきた南口側の階段上にあるのだという。先ほど通ってきた場所ではないか。既知の存在であった階段下の白ポストにばかり目が向いていて、すっかり存在をスルーしていたようだ。これは実物を確認しなくてはなるまい。
これが茅ヶ崎市の図書返却ポストだ!
今回のオチ、というか結果。
どう見てもこちらの外観の方が白ポストである。
オーソドックスな自立直方体型、内蔵鍵の前方取出しタイプである。確かに「図書返却ポスト」と明記されてはいるものの、外観的にはこちらの方こそまぎれもなく白ポストに見えてしまう。
階段下にある本来の白ポストが、なまじ材質的に暖かみを感じる木製であるだけに、茅ヶ崎市民的にはこちらこそが図書館書籍返却用のポストであると、誤認識をしてしまうのではないだろうか?
ということで、11年ぶりの茅ヶ崎の白ポスト往訪記はこのあたりでおしまい。ツッコミどころが多くて久しぶりに3,000文字を超えてしまった。
おそらくこれで神奈川県内の白ポストは全て網羅できたはずである。が、先日寒川町のてんとうむし型白ポスト4基を再訪してきたので、そちらについても改めてエントリを立てる予定。それが終わったら、神奈川県の全白ポストまとめを作ろうかな。