本エントリは2016/7/30に投稿していたものを加筆改訂した上で再投稿している(旧エントリは公開を停止した)。ご了承いただきたい。
六本木交差点のピンクチラシ回収ボックス
厳密に言うと白ポストではないのかもしれないが、こちらはかつて六本木交差点に設置されていたピンクチラシ回収するための専用ボックスである。2005年撮影。
知りうる限り東京23区内で確認できた最後の白ポストではないかと思われる。
まさか東京の23区内で白ポストに遭遇できるとは思ってもいなかったので、デジカメを持参しておらず、撮影したのもガラケー(スマホは未だ無かった)で更に加えて夜間……。写真の映りも悪く、解像度も低くて本当に残念である。
基本形状は直方体タイプだが、投函部分はスリット状になっておりスキマがかなり狭い。まさにピンクチラシ回収専用。他の雑誌や新聞紙、よけいなゴミ等は一切投函出来ないようになっている。そして天板部分は前方に大きく傾斜しており、よけいなものを上に載せることが出来ないような構造だ。なお、画像が粗くて読みにくいが、設置したのは警察のようだ。
もっと詳しい記事がこちらに
その後、あれこれググっていたところ、風きよしさんの古今東西散歩にてもっと詳しく書かれた記事を発見したのでご紹介させていただく。写真もこちらの方がはるかに綺麗である。
こちらのエントリによると、
交差点の4つの角のうち、3箇所に白ポストが設置されています。喫煙コーナーも2箇所設置されており、麻布地区の環境浄化に対する取り組みがうかがえます。
とあり、実は1つではなく、交差点内の3箇所に設置されていたもよう。全然気づかなかった。お恥ずかしい。
設置された理由を考えてみる
全国でも珍しいピンクチラシ専用の回収ボックスは何故登場したのだろうか。
2000年代前半。いまではもうほとんど見られなくなった光景だが、繁華街のピンクチラシの貼られ度合いがかなり酷かったのを覚えておられる方はいるだろうか。電話ボックスや電柱、そこいら中がピンクチラシだらけでなんだか訳がわからない状態になっていた。かなり露骨なデザインのチラシも多かったので、不快に感じた方も多いと思う。
六本木はこの手のサービスのメッカであったから、いっそうその度合いは酷かったのだろう。貼られたピンクチラシはいずれ地面に落ちて周囲の景観を更に損ねる。それならば集約して回収した方がマシであると設置する側は判断したのかもしれない。回収ボックスには「ピンクチラシ追放を!」と記されており、警察のメンツ的なものもあったのかもしれない。あくまでも想像でしかないのだけれども……。
撤去された理由を考えてみる
おそらく23区内では最後の白ポストだったのではと思われる、六本木交差点のピンクチラシ回収ポストだが、なぜ撤去されてしまったのだろうか。
風きよしさんの著作「古今東西風俗散歩」にそのヒントが書かれていた。以下、当該部分を引用させていただく。
ピンクビラとは、繁華街やラブホテル街の電柱や標識柱に貼られているデリヘルなどの無店舗型性風俗店の広告用ビラのことですが、最近は見かけることが少なくなりました。平成17年の風営法改正により、ビラ貼りが厳しく制限され、ビラを貼る行為そのものが減ったのと、貼ったとしてもすぐに剥がされるようになったためと考えられます。
「古今東西風俗散歩」(トランスワールドジャパン)p120 ビラ剥がし跡と都市の境界より
つまり平成17(2005)年に施行された風営法の改正により、ビラ貼りにも厳罰化が適用されるようになり、そもそも回収すべきピンクチラシが激減してしまったのであろう。当局の狙い通りというところだが、結果として六本木のピンクチラシ回収ポストもお役御免となり撤去されてしまったのではないだろうか。
今回紹介した画像は2005年2月の撮影。そして古今東西散歩の記事は2006年1月の投稿であり、タイミング的には撤去されるギリギリの時期であったのかもしれない。
なお、書籍「古今東西風俗散歩」は白ポストについての言及がなされている非常に貴重な一冊である。当時猖獗を極めたピンクチラシについても記載があり興味は尽きない。本書についてはいずれ、エントリを改めてご紹介出来ればと考えている。