中央本線シリーズ二回目は四方津駅
中央本線山梨県部分を北上しつつ、地道に各駅の白ポストを紹介していく企画の二回目。山梨県部分に入って二つ目の駅、上野原市、四方津(しおつ)駅の白ポストをご紹介したい。
趣向を変えて今回は外観から先に。
上野原駅同様に四方津駅も桂川によって形成された河岸段丘の斜面上に設置された駅である。崖線の上には、1980年代後半から1990年代にかけて造成されたニュータウン「コモアしおつ」の宅地群が立ち並ぶ。四方津駅前から伸びる、ガラス天井の斜行エレベータ「コモア・ブリッジ」は中央線の車窓からも目立つので記憶にある方も多いのではないだろうか。
そしてこちらが四方津駅前。駅を出るといきなり坂道となるので、少し登った位置から駅舎を撮影してみたのがこちらの一枚。駅舎入口向かって左に見えるのが、四方津駅の白ポストである。2005年の撮影。
ストリートビュー的に見てみるとこんな感じ。こちらは本エントリ執筆時点では2016年のデータのようだが、10年余りの歳月を経ても、白ポストが健在であることが伺える。
山梨県の白ポストとしては特異な存在である四方津タイプ
さて、ここでようやくお目当ての四方津駅の白ポストにご対面である。
よく見て頂きたい、驚くべきことにデザインが山梨県標準タイプではないのである。
標準タイプ(上野原駅版)と並べて比較してみよう。右が標準タイプ。山梨県では県単位での白ポスト設置を行っており、そのためか県内の白ポストはほぼ同一の形状をしている。
しかしこの四方津駅タイプはどうだろう。直方体という基本形状は同一ながらも、明らかに高さが低く、奥行きも少ない。本体色も白と言うよりはベージュに近い色合いで、前面のペイントも異なる。
そしてこちらは回収口部分の拡大図。向かって右側に回収口があり南京錠で施錠している点は同一だが、四方津駅タイプはかんぬきでしっかり固定する設計になっており、より強固な構造になっている。
何故四方津駅タイプだけが異なる形状なのか?
提唱したいのは、標準タイプに先行して存在した初期タイプ説である。
山梨県の白ポスト配置がいつごろから開始されたのかは不明であるが、四方津駅にはまずこの白ポストが存在し、その後各駅にも配置が始まったものの、先行タイプである四方津駅タイプは既に設置されているのだからとそのままにされたのではないか。
白ポストといえど、製造にはコストがかかる。白ポストの製造が市民の税金をベースとしているのであれば、納得のいく仮説ではある。
四方津駅タイプの下部に記された「青少年育成上野原町民会議」部分に着目して頂きたい。上野原町は2005年に隣接する秋山村と合併し上野原市となっている。よって、この白ポストは当時の上野原町が主体となって2005年以前に設置されたものなのだろう。県ぐるみの白ポスト設置の動きが進んで行く中で、先行していた四方津駅タイプの標準化は見送られたのかもしれない。
ストリートビューの画像をもう一度見てみると、ポストの形状は依然として従来のままであることが伺える。山梨県の白ポスト事情において貴重な例外としてこれからもがんばっていただきたいところである。
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