少し寄り道して根府川駅へ
水戸市の白ポストを紹介中なのだが、ちょっと寄り道して小田原市の白ポストネタおまけ編。 JR東海道線根府川(ねぶかわ)駅のお話。
小田原駅から二つ先の根府川駅は、ホームに降り立つと目の前がいきなり海!太平洋!という素晴らしいロケーションの駅で個人的に大好きな駅の一つである。この写真の撮影日はほぼ10年前の2007年10月26日。あいにくの雨模様で背景もぼんやりと映っているが、ホントは見事なまでに海なので一度是非実物をご覧いただきたい。
白いきっぷ入れ
この駅は東海道線では極めて珍しい無人駅なのだ。よって、Suicaによる簡易改札機が設置されており、きっぷで乗車した場合はこの白いきっぷ入れに使用済み分を入れて降車することになっている。
で、その愛らしいハコがこちら。なんというキュートさ。きっぷを投函するためだけという単機能に徹することで、余計な装飾から開放され、シンプルながらも力強い存在感を発しているのである。
あ、白ポストじゃないけど「白くて何かを入れるハコ」ってことで、深く考えずにスルーしていただきたい。
根府川駅は他にも見所満載
見所その1。根府川駅は昭和感満点で、濃厚なノスタル波を放つ木造の駅舎も素晴らしいのだ。薄いペパーミントグリーンの壁面に赤い屋根が、背景の太平洋に映えてそれは素晴らしい情景なのである(写真がダメダメすぎて残念)。
こちら駅待合室。右コーナー奥の生け花がなんとも可憐。無人駅ながら、手をかけてくれる人がいることが伺えとても嬉しくなる。今でもあるのだろうか。
見所その2。この駅の構造は少し特殊で、切り立った海岸段丘状地形の上に駅舎が乗っており、その下面に線路が敷かれている。よって改札を抜けるといきなり跨線橋であり、ホームへ向かうには階段を下るだけで良いという珍しい構造になっている。
改札を抜けるとまっすぐに続く跨線橋内の通路。背景は何度も言うけど、どーんと太平洋なので、開放感が半端なくなかなかに爽快なのである。
そして悲しい歴史
1923年の関東大震災で発生した根府川駅列車転落事故は、駅舎、車両共に崩落し海面に滑り落ちるという大惨事となり100名以上の人命が失われた。傾斜地に設置された駅構造に加えて、たまたま地震発生時に車両が入線してきた 不幸も重なり、関東大震災の鉄道事故では最大の被災地となっているのである。震災で亡くなられた方の遺体はほとんどが発見できず、当時の駅舎や列車の遺構もほとんどが現在も水没したままであるらしい。
風光明媚な土地は、時として自然災害のリスクの高い場所ともなることを改めて知ることとなった。深い考えもなく、白ポストの有無だけを確認するためにこの駅に降り立ったわたしだったが、人間は知らず知らずのうちにこうした痛ましい歴史の地に、無神経に脚を踏み入れているのだなと思い知らされることとなった。
さいごに
根府川駅は素晴らしい駅であるが、過去の被災地であることに想いをはせ、相応の礼をもって訪れるべき場所でもある。しかし思いっきり白ポストから話題がずれてしまった。もともと多趣味な人間なので、放っておくといくらでもコンセプトがブレていく可能性があり、このBlogではとにかく「白ポストのことしか書かない」を自身に課しているのだが、たまにはということでお許し頂きたい。次回からは、またひたすら白ポストの紹介が延々と続いていくのでご期待を。